農業分野
土づくりから、土耕の空中培地まで。
短期間で完熟堆肥を作るアーサーバイオのコンポスト製造技術
土づくりから、土耕の空中培地まで
アーサーバイオは、超微細気泡(ウルトラファインナノバブル)製造技術を、土壌汚染浄化やイチゴのハウス栽培に実用化してきました。
空中栽培ベンチを考案し、微生物を使って、高糖度・高品質なイチゴ作りに成功しました。
畜糞や落ち葉などのバイオマスを醗酵させて完熟堆肥にする技術があります。→コンポスト製造
水田稲作で二千年もの連作を可能にした最大の功労者は、共生微生物(Endo Phyte)ですが、アーサーバイオは、土づくりから始まり、土耕の空中培地での無農薬栽培までの農業技術を追究してまいります。
コンポスト製造(有機物・堆厩肥・堆肥等)
無臭コンポストができるまでは、①糖・アミノ酸分解期、②セルロース分解期③リグニン分解期の3段階に分けることができます。
- 1 糖・アミノ酸分解期
- 堆肥化の第一段階では、原料中の糖やアミノ酸などの易分解(いぶんかい)性有機物が分解されます。
分解は好気的に行われ、生育の早い糸状菌等が活躍します。
この過程で微生物の呼吸により、発熱(30~50℃)が起きます。 - 2 セルロース分解期
- 温度が高まるにつれて、セルロース・ヘミセルロースが分解されるセルロース分解期に移ります。
この時期は、コンポストの温度が60℃以上(時には80℃以上)になります。
高温期には、一般の微生物は休眠あるいは死滅し、限られた種類の好熱菌や超好熱菌のみが働きます。
まず、好熱性好気性の放線菌がセルロースを分解し、酸素を盛んに消費するため、周囲が酸素不足となります。
そこに嫌気性のセルロース分解菌がその最適条件を得て働きます。
このように好気性菌と嫌気性菌がそれぞれ、隆盛と衰退とを繰り返し、繊維質の分解が進みます。 - 3 リグニン分解期
- コンポストの温度が下がるにつれて、リグニンの分解が始まります。
この時期には、繊維成分の中間分解物が出来、コンポストの温度も低下して、他の微生物が生育しやすい環境となります。
そのため、多種類の微生物が活動し、リグニンを分解する担子菌類(キノコ)も活動します。
さらに、微生物を捕食する小動物が現れるので、トビムシやミミズも出現します。
このように易分解性の糖類、アミノ酸から始まり、ヘミセルロース、セルロース、リグニンと分解されて行き、それに関わる微生物もそれぞれに適応したものに交代して行きます。
多種類の微生物の働きによって、コンポストが作られますが、これらの菌は、自然界に偏在して(どこにでも)いて、活動のタイミングをうかがって準備しているので、どんな資材でも似たような微生物交代が起きます。
短期間、で作ることで、発酵槽が少なくて済み、コンポスト製造スペースが小さくなります。
コンポスト製造の指導実績で、各地の依頼者から感謝を頂いております。
アーサーバイオのコンポスト製造技術は、短期間で完熟堆肥を作る技術です。
完熟堆肥とは
コンポストの分解の程度により、未熟・中塾・完熟という分類がされます。
採点法による堆肥腐熟度判定基準を以下に示します(農林水産省畜産試験場)
色 | 黄~黄褐色=2,褐色=5,黒褐色~黒=10 | |
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形状 | 原料の形状をとどめる=2,かなり崩れる=5 | |
ほとんど認めない=10 | ||
臭気 | 糞尿臭が強い=2,糞尿臭が弱い=5,堆肥臭=10 | |
水分 | 強く握ると指の間から滴る=2,強く握ると手のひらに かなりつく=5,強く握っても手のひらにあまりつかない=10 |
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堆積期間での最高温度 | 50℃以下=2,50~60℃=10,60~70℃=15,70℃=10 | |
堆積期間 | 家畜糞のみ | 20日以内=2,20日~2ケ月=10a 2ケ月以上=20 |
作物残渣と混合 | 20日以内=2,20日~3ケ月=10a 3ケ月以上=20 |
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木質と混合 | 20日以内=2,20日~6ケ月=10a 6ケ月以上=20 |
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切り返しの回数 | 2回以下=2,3~6回=5,7回以上=10 | |
強制通気(ブロア使用) | なし=0,あり=10 |
この評点を合計して30点以下を未熟、31~80点を中熟、81点以上を完熟とする。
未熟堆肥の被害
未熟堆肥を施用すると、おがくずなどの多い高C/N比の場合は、土中がチッソ欠乏により作物の黄化や生育不良を起こします。
反対に未分解の畜糞の多い低C/N比の場合にアンモニアや亜硝酸ガスによるチッソガスでクロロシス(黄白化)や生育障害を起こします。
牛の腸に棲む病原性大腸菌が、もやしなどの発芽野菜を経由して感染する理由は、畑に撒く未熟堆肥が原因です。
2011年にヨーロッパで集団発生した病原性大腸菌O-104の食中毒では死者50人。
ドイツの国立ロベルト・コッホ研究所は、原因食がスプラウト(Bean and seed sprouts:発芽野菜)であるとして、スプラウトの生食を控えるように注意喚起をしています。
1996年7月に堺市の小学校で発生した病原性大腸菌O-157による集団食中毒で、死者3名が出た際には、当時の厚生省が、カイワレ大根を原因食として疑ったために、生産した農場などに立入検査が行われました。(O-157は不検出)
尚、風評被害を受けたカイワレ大根生産業者らが起こした国家賠償を求める民事裁判では、最高裁で国側敗訴が確定しています。
結果的には、当時の厚生大臣のフライイングで風評被害を受けたという決着でしたが、この事件以降、もやし・カイワレ・アルファルファなどの種子の紫外線殺菌(発芽率が若干低下)をするようになりました。
完熟堆肥であれば、70℃の高温醗酵時に病原菌が死滅します。
ベロ毒素産生性大腸菌は、しばしば家畜の腸内に存在しており、未熟堆肥を使用した非加熱のサラダ野菜を介して人間に感染します。
未熟堆肥の施用で人命にかかわるという例です。