正常性バイアス

認知論において「正常性バイアス」というものがある。以下引用

>>>正常性バイアス : Normalcy biasとは、認知バイアスの一種。※1

社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、正常性バイアスとは、

自分にとって都合の悪い情報を無視したり

過小評価したりしてしまう人の特性のこと

自然災害や火事、事故、事件などといった

自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、

それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい

都合の悪い情報を無視したり、

自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと

過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる

「正常化の偏見」、「恒常性バイアス」とも言う。>>>wikiより

 

今年の夏は異常気象だ。

梅雨前線のような低気圧と前線が停滞して、8月中旬はずっと雨が降り続いている。

地球温暖化の影響か 線状降水帯が次々と通過していく異常な降雨量だが、

永年住んできた家を離れるのが億劫で、逃げ遅れる人がいる。

 

五月雨や大河を前に家二軒 by蕪村

 

以下引用

>>>人間の心は、予期せぬ出来事に対して、ある程度「鈍感」にできている

日々の生活の中で生じる予期せぬ変化や新しい事象に、

心が過剰に反応して疲弊しないために必要なはたらきで

ある程度の限界までは、正常の範囲として処理する心のメカニズムが備わっていると考えられる

古い防災の常識では、災害に直面した人々の多くは、

たやすくパニックに陥ってしまうものと信じられており

災害に関する情報を群衆にありのまま伝えて避難を急かすようなことは、

かえって避難や救助の妨げになると考えられてきた

ところが後世の研究では、実際にパニックが起こるのは希なケースであるとされ

むしろ災害に直面した人々がただちに避難行動を取ろうとしない原因の一つとして、

正常性バイアスなどの心の作用が注目されている

正常性バイアスの具体的な例

東北地方太平洋沖地震東日本大震災
津波避難をめぐる課題として「警報が出ているのを知りながら避難しない」人たちがいることが指摘されていた。実際に、地震発生直後のビッグデータによる人々の動線解析で、ある地域では地震直後にはほとんど動きがなく、多くの人々が実際に津波を目撃してから初めて避難行動に移り、結果、避難に遅れが生じたことが解明された
例えば海岸から5キロメートル離れた石巻市立大川小学校で、生徒74名と教師10名およびスクールバスの運転手が、避難先の決定を誤るなどして河川を遡上してきた津波に飲み込まれて死亡したケースでは、正常性バイアスによる根拠のない楽観的思考が対応を遅らせた可能性が指摘されている
2014年の御嶽山噴火
御嶽山の噴火で登山者58人が噴石や噴煙に巻き込まれて死亡した。死亡者の多くが噴火後も火口付近にとどまり噴火の様子を写真撮影していたことがわかっており、携帯電話を手に持ったままの死体や、噴火から4分後に撮影した記録が残るカメラもあった。彼らが正常性バイアスの影響下にあり、「自分は大丈夫」と思っていた可能性が指摘されている。>>>wikiより

1991年の雲仙岳火砕流

1991.6.3の大規模火砕流直前、火口の溶岩ドームが巨大化していき、それをスクープするために集まった報道関係者(アルバイト含む)、タクシー運転手、警察官、火山研究者までもが、火砕流の犠牲になった。その結果、戦後初の大規模な火山災害として、43名の死者・行方不明者と9名の負傷者を出す惨事となった。

 

マスコミの喧騒に辟易して、

終わりの無いようにも見える自粛要請緊急事態宣言に倦んで、

この期に及んで「コロナない」と言い切る人がいる。

正常性バイアスのかかった発言と見るべきでしょう。

 

>>>人間の心は、予期せぬ出来事に対して、ある程度「鈍感」にできていて

その、ある程度の限界までは、正常の範囲として処理する心のメカニズムが備わっている。>>>

それでも「天災は忘れた頃にやってくる」ので、

人間は日照りの夏はおろおろ歩き」、

大雪が積もれば「これがまあ つひの栖(すみか)か 雪五尺」と詠じ、

自ら陥穽に嵌れば「さればよと みるみる人の 落ちぞ入る おほくの穴の 世にはありける」と嘆じ、

そして寿命がきたら「つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど きのふけふとは 思はざりしを」と、

まだ大丈夫 自分だけは大丈夫 と言い聞かせながら、

行き当たりばったりに生きていくうちに お迎えが来るという存在なんだと思う。

 

 

 

 

 

※1 認知バイアス 

その他 各種の 認知バイアス 

一部の認知バイアスは、選択肢の好ましさを考慮した意思決定に影響を与える。

コンコルド効果  埋没費用効果 (sunk cost effect)」の別名であり、ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とする。

錯誤相関  は、相関がないデータに相関があると思い込んでしまう現象で、事象の発生しやすさや因果関係の判断に影響を与える。例えば、「私が鉛筆を忘れてくると、必ずテストがある」というようなことである。これは当人が非常に不運でない限り、錯誤相関と思われる(非常に不運である場合も、錯誤相関である)。テストの際に何回か鉛筆を忘れた経験によって、錯誤相関が生まれる(そのような経験は強く記憶されるため、記憶の中で目立つから)。

ある種のバイアスは記憶に影響を与える。例えば、一貫性バイアスは、ある人物の過去の態度や行動が現在の態度により近いものだったと記憶させる。

後知恵バイアス  物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向。後知恵バイアスは、政治・ゲーム・医療など様々な状況で見られる。後知恵バイアスに関する心理学実験では、事象の予測が当たった場合に被験者は発生前よりも予測が強かったと記憶する傾向があることが分かっている。事象の後に記録された予言は、後知恵バイアスの例である。

確証バイアス   (:追認バイアス)個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという傾向。いったんある決断をおこなってしまうと、その後に得られた情報を決断した内容に有利に解釈する傾向をさす。メンデルが論文で報告した実験データの一部が、「メンデルの法則の理論値に合いすぎている」として、確証バイアスによってデータの作為的な選別が行われたと推測され批判された、という過去の事例があり、現在でも極めて著名である。しかし、その批判の一部にもまた問題があったことがわかっており、再検討の結果は2008年に公刊されている。

根本的な帰属の誤り   状況の影響を過小評価し、個人特性を過大評価して人間の行動を説明する傾向。すなわち、人間は人の行動を根拠なくその人の「種類」によって決定されていると見る傾向があり、社会的かつ状況的な影響を軽視する傾向がある。また、自身の行動については逆の見方をする傾向がある。

生存者バイアス   何らかの選択過程を通過した人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過に失敗してしまった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうこと。

アンカリング    ある事象の評価が、ヒントとして与えられた情報に引きずられてしまうこと。日本語話者が「ピザ」と10回言わされた後に、肘を指差して「ここは?」と問われた際に「ひざ」と答えてしまう現象も、アンカリングである。

 

 

記:野村龍司