またたび、また、たのしからずや!
マタタビを探して、山道を行く、、、。

半夏生(ハンゲショウ)のような、白い葉が混ざった蔓植物(マタタビ)は、すぐに見つけることができる。
鹿追いのように(鹿は白い尻を見せて「おいでおいで」しながら逃げる)
マタタビが山の奥に誘う。
マタタビの緑陰に入ると目の前に、猫のふぐりωの如く、
虫癭果(ちゅうえいか)が、ぶらんと下がっている。
白い葉の裏も、緑の葉の裏も同じ緑だが、
白い葉はよく目立ち、花の時期(6~8月)に花粉を媒介する虫を誘う。

某日、この木↑だけで、4.4kgの実が取れた
一度にたくさん成っていると、気持ちがハイになる。
或る時は、夢中で取っている内に、蛇結茨(ジャケツイバラ)のトゲが、腕に刺さって、飛び上がった。

「ジャケツイバラ」トゲが長くて鋭い
植物のアタマに「イヌ」のついている
「イヌエンジュ」「イヌマキ」「イヌビワ」などの、
「イヌ」は「犬」ではなく、「つまらない」とか「ムダな」という意味の冠名だが、
イヌエンジュではなくジャケツイバラだったようだ。
名前のとおり、邪悪で凶暴なトゲで、イノシシ・クマ・シカ・サルでも難儀すると思う。

右手橈骨のあたりに沿って、大量出血した条刺痕(トゲが刺さって折れて、肉の中に残っていたのを、つまみ出したので腫れている)
突然の、強烈な痛みで、何事が起きたのかも解らず、
持っていたマタタビの実を入れた袋を、谷川に落としてしまって、
周章てて追いかけて、傘の柄を 袋のヒモに引っ掛けて、取り戻した。
傘は、高いところに成っているマタタビの蔓を引き寄せるために、持っていたのだった。
シマヘビやアオダイショウにも、よく出くわす。

今の時期には未熟だが、アケビ↑の成っている場所をいくつも見つけた。
クワガタ採りに明け暮れていた少年時代の夏休みと、全く同じような事をしている。
虫採りも、マタタビ採りも、獲物以外の出来事・副産物(釣りで云う外道)が、実に、面白くて楽しい。
童謡の”セミに御叱呼かけられても楽しい”というのは、ウソだ。
エゴノキも、よく見るが、マタタビの成るような山奥のウェットな場所では、
エゴノネコアシ(虫癭果)が成っていなくて、正常果ばかりだ。
寄生虫(エゴノネコアシアブラムシ)の宿主(コンパニオンのアシボソ)が無いからか、
それとも、時期的に遅い(エゴノネコアシは7月に落果する)のか?
相手が旧友でも動植物でも虫でもヘビでも、再会の喜びがある。
一別以来、お互い生きていたんだという懐かしさがある。
(実は学問も全く同じだ・・・学而)
シマヘビやアオダイショウは、僕のOld Friends だ。
英語のoldには、懐かしいという意味が含まれる。
中国語の「老(ラオ)」は、敬意を含む。
ヘビはこの頃、滅相お目にかからなくて、見ると懐かしい。
僕にとって、虫やヘビや自然は、
Old Friends ;懐かしい友達で、
いつも同じように接してくれる、年を取らない先生だ。
毎週、マタタビを採って、マタタビもまた、Old Friend(馴染み) になってきた。
仕事で使っている現場用車のフロントガラスの下で、乾燥させている。

7/31の梅雨明け以降、屋外駐車すると、車中が~70℃ぐらいになるので、

3日間あれば、乾燥重量/生重量=1/8ぐらいに、水分が抜けてしまう。
マタタビの乾燥品の匂いは、Aromatic だ(なかなか良い)。

梅雨の間は、ヨーグルトメーカー(恒温器:60℃設定)で、乾燥させていた。
屋内で乾燥していると、近所のノラネコが、次々寄ってくる。
屋外で自然乾燥すると、ネコに襲われてひどい目に遭わされることが予想される。
電子レンジなら時間短縮になるが、独特の香りが抜けてしまい、黒ずんでよくない。
恐らく、アルコールなどが80℃程度で飛んでしまう上、葉酸などが壊れるのだろう。
換気扇の外のウッドデッキで、
ネコが、指をついて座って、網戸越しに、
「いいもの 隠しているでしょ!」と言う(女房談)らしい。
いいもの;マタタビ酒を造った。

茹でた正常果1㎏+乾燥虫癭果500g+ホワイトリカー25°×2.4L+氷砂糖1㎏を、6ケ月~12ケ月漬けてdistill
漬けて1週間後に、試飲したが、苦みと香りのバランスがよく、
上等のウイスキーのようで、実に美味い❕
それにしても、一体、どういうロジックでマタタビは、
ネコが夢中になる(に好かれる)物質を産生するように進化したんだろう?
過去ログ:囲繞地・2項道路など・・・学而篇
記:野村龍司