またたび

最近自分が、ハマっているモノは、マタタビ:木天蓼(またたび:モクテンリョウ)だ。

6月某日、山に幻の滝を見に行ったところ、

手の届くところにマタタビの花が咲いていて、

その香りが、随分遠い昔を思い出させた。

小学校6年生の6月の日曜日、なぜか中学の(当時教頭:どんな植物も同定してくれた本多啓七)先生

(昭和44年日本学生科学賞の総理大臣賞を「ミズゴケの生態研究」で獲った時の指導教諭)

休日に自然観察教室を開いて、山歩き(釈泉寺→大岩)を引率して、

マタタビの花を教えてくれた事を思い出したのだ。

昭和45年だから、丁度50年前の香りが、脳内で甦ったような気がした。

マタタビの花の香fragranceは、上品で、例えようが難しい。

クチナシ・バラ・シャクヤク・ハスなど、上品な香りは色々あるが、

ジンチョウゲ・クチナシ・キンモクセイ程には、主張が強くない。

しかし、50年の時を一瞬にスリップしてしまうようなheavenlyな香りだ。

敢えて例えるなら、「バラとシャクヤクの中間よりもシャクヤク寄りで、ハスの花に近い。」

花の姿も、沙羅双樹や茶の木のような上品なたたずまいで、ひっそりと咲く超美人。

控えめな その香りは、fragranceというよりもscentというべきか。

映画”Scent of a Woman”は、脚本もアル・パチーノの演技も素晴らしい。

マタタビは、ウェットな場所を好む、

花の時期は、スイカズラやノウゼンカズラなどと同時期。

スイカズラ:忍冬

ノウゼンカズラ:凌霄花

マタタビは、サルナシと近縁で、シナサルナシを品種改良して、キウイフルーツを育種開発したので、

キウイとサルナシは同種で、マタタビとサルナシは近縁だ

田舎育ちの僕は、小学校2~3年生のころ、

自然に驚きと疑問を持ったのが、小川のそばでよく見かける

エゴノキ(マタタビと同じくウェットな場所を好む)に、

実が2種類成ることだった。

エゴノキ ↑虫癭果(ちゅうえいか)が成っている。

↑エゴノキの花

エゴノキの正常果(丸い実)

正常果は、潰して石鹸代わりに使える

↓ エゴノキの虫癭果 エゴノネコアシ=ちゅうえい

↑ cat’s paw というよりも仏手柑のような・・・エゴノネコアシ

↑仏手柑・・・柑橘類でシトロンの変種

エゴノキの虫癭果は、エゴノネコアシアブラムシの仕業。

それ以来の驚きだが、マタタビもまた実が2種類成る・・・。

正常果(せいじょうか)と虫癭果(ちゅうえいか)ができる。

マタタビの虫癭(ちゅうえい)は、マタタビミバエ、もしくはマタタビノアブラムシの産卵により形成される。

上がマタタビの虫癭果。下がマタタビの正常果・・・ドングリのような青唐辛子のような外見。 7月5日(日曜日)の1日分の収穫

正常果の方は、茹でてから、オリゴ糖に漬けて、海洋深層水を投入

虫癭果の方は、ゆっくり時間をかけて乾燥させて、粉末にして

「木天蓼:モクテンリョウ」(漢方薬)を作る。

僕はこれまで、マタタビの実を食べると、行き倒れた旅人が生まれ変わって歩き出す程、

或いは、Dragon ballの「仙豆のように、たちまちの内に、

強烈な強壮効果があって、元気が出るのだと思っていたのだが、、、違うようだ。

霊芝」や「またたび」は、その薬効が伝説に増幅されて、

実力以上に過大評価されているようにも思う。

面白いのは、マタタビの薬効が正常果<<虫癭果となることだ。

虫癭=虫瘤=英: gall=ゴール

効果に個体差はあるものの、ネコ科の動物は揮発性のマタタビラクトンと総称される臭気物質

イリドミルメシンアクチニジン、プレゴンなどに恍惚を感じることで知られており、

イエネコがマタタビに強い反応を示すさまから「猫に木天蓼」ということわざが生まれた。

ライオンやトラなどネコ科の大型動物もイエネコ同様マタタビの臭気に特有の反応を示す。

ネコに作用する効きめも、葉<普通の枝<木に虫癭果のある枝<正常果<<<虫癭果で、

虫が作用して癭(こぶ)となり、上記マタタビラクトンが産生される、

まるで、香木の伽羅に、或る種の寄生(昆虫やダニなどの寄生)があって初めて

香気物質が樹脂として分泌され、沈香と化すようなもの

蘭奢待の文字に東大寺が入っていて、国宝。足利義政と織田信長と明治天皇が削り取った痕が残っている。

伽羅に作用する寄生のメカニズムを解明したら、蘭奢待のような

国宝級沈香を作り出すことができるのではないか?

コーヒーはアロマで花はフレグランス、沈香もアロマでしょ。

【1】マタタビ抽出物は抗炎症作用を持つことが確認されました。その成分は抗炎症作用のほか、抗アレルギー作用を持つことから、マタタビは抗炎症、抗アレルギー効果が期待されています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22313761

【2】マタタビは傷やリウマチ、抗炎症薬として古くから使われてきました。またマタタビに含まれているα-リノレン酸はiNOSやCOX-2発現抑制効果を示すことから、マタタビは抗炎症作用を持つと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17679548

【3】マタタビは韓国で民間薬として使用されてきました。今回マタタビ抽出物について調査したところ、リポサッカロイドよりおこる炎症物質プロスタグランジンやCOX-2の産生が抑制されたことから、マタタビは抗炎症作用を持つと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14723341

【4】マタタビを原材料とする韓国民間薬は排尿障害、脳卒中、胃腸カタル、急性胃炎、胃癌などに使用されてきました。この機能性成分のマタタビは排尿障害、胃腸の健康、血流改善に役立つと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17628343

 

 

実は、↓このつる植物の写真も僕が撮ったんだが、

この葉っぱは、丸くて、葉柄が赤く、

キウイに似ているので、サルナシという結論を下すに至った。

10月になったら、甘くなったサルナシを、ここへ

「採りに行かなくちゃ」という感覚は、

もう、僕はサルと化しているのだ。

 

これの近くにヤマブドウもあった。

ヤマブドウ雄花

ヤマブドウ雌花

この山葡萄も、彼岸すぎにここへ、「採りに行かなくちゃ!」

 

 

ナツメヤシ・ブドウ・ナシ・リンゴ・サルナシ等々、

果物は、哺乳類(クマやサルなど)が好んで食べるように、

人間が品種改良する前から、自ら、味や栄養を改良してきた。

そして、哺乳類や鳥類は、その種を遠くへ播種することに協力してきた。

さらに、類人猿は、果物ばかり食べている内に、いつの間にか、

ビタミンCを体内で合成する能力を失ってしまった。

だから類人猿の僕が、果物が色づいたころに「採りに行かなくちゃ」と思うのは、本能だ。

 

それにしても、蔓植物(vine)の戦略は普通の木(tree)と比べて、優れているのを、実感する。

まず、自立しなくてもよいので、伸びるのが早い。

太くて強い幹が必要ないので、太陽光を求めて、絡まっている木を凌ぐだけ伸びると、

確実に光を得られるので、絡まれている木よりも優位にある。

蔓植物の中には、気根を、宿主の肌にまで食い込ませて、水分や養分を吸い取るものまでいる。

恐らく、マタタビなど、伸長旺盛な蔓植物は、林業の害を為すので、

杣山(人工林の山)には、マタタビや藤が人の手で撲滅されていて、マタタビや藤が珍しい。

アケビやサルトリイバラは、さほどの害を為さないので、杣山でもよく見かける。

 

因みに、ネコはビタミンCを体内で合成出来るので、肉や魚ばかり食わせていてもいい。

イヌもビタミンCを体内で合成出来るので、老犬にだけサプリメントとして与えるとよい。

ネコは、水が嫌いだが、いつも身体中舐めて毛づくろいをして、

手を使って、全身きれいにしていて臭くない

犬は、水が好きだが、洗ってやっても しばらくすると臭くなる

グループで暮らすサルは、いつもお互いの毛づくろいをする。

人間は、毛が少ないので、毛のあるところだけ石鹸で洗っていれば、臭くならない。

人間の毛は、「匂いを湛えて、異性を惹きつけるためにある」という説がある。

ヒゲを伸ばすと、外見だけでなく、そこに男の匂いが堪るのだろう。

 

 

 

追記

日本学生科学省 総理大臣賞受賞は、上市中学校の歴史上、あるいは、

富山県教育界にとっても、画期的な出来事だったし、

本多啓七先生は、富山県の教育界の重鎮で、植物学者としても一流だった。

僕は、鉄腕アトムの歌詞にある「科学の子」を目指すという大義名分の下、

夏休みは川で泳いで、魚を捕えたり、クワガタ採りに明け暮れていた。

 

 

記:野村龍司