FIT と EARTHOR

毎回 好きなこと、書きたいことを書いているように思われているかもしれないが、

時には、書いてから全部消すということもある。

5月は3本のうち2本が、畏れおほくも畏くも天皇ネタだった。

あと1本は、『憂国』という題で、ロシア・「戦争」の言葉狩り、

丸山議員及び三島由紀夫について書いて、その記事1本全て消した。

反省して、仕事の話を書く。

 

『FIT と EARTHOR』

2011年3月11日の東日本大震災によって、日本のエネルギー事情が、

脱原発の方に大きく方向転換した。※1

その結果、2012年7月から、再生可能エネルギー特別措置法の下で,

 

固定価格買取り制度 (FIT)がスタートした。

先日、若い銀行員がアポなしで アーサーバイオを訪ねて来て、僕が対応した際に、

彼は「太陽光発電所の所有企業と、太陽光発電関連の会社を中心に営業活動しています。」と言う。

アーサーバイオが、太陽光発電所を所有している事と太陽光関連事業をしている事を、どこかで調べて来たようだ。

太陽光発電関連の会社に目をつけるとは、少々遅れているとはいえ、出来る銀行マンだ。

勿論、2019年度に新規設置する¥14/kwh案件に対しては、双方 関心が無い。

太陽光は「稼動開始済の¥36/kwhの売買案件を中心に扱っていて、

表面利回り10%あれば売買可能(買い手法人を紹介可能)です」と言う。

例えば一方で、家賃収入のある賃貸ビル売買する場合、

売値が10億円で、家賃収入が満室想定で1億円/年あったとすると、

表面利回り10%となるのだが、満室(入室率が100%)でずっと推移するとは限らず、

年数の経過とともに、水廻り・空調・屋上防水・外壁補修等の修繕費用がかかる。

賃貸ビル土地付きで、土地の評価額が一定程度ある場合でも、ビルの解体や建替えを想定すると、

建物単体の表面利回りが同じ10%なら、太陽光発電所の方がリスクが小さい。

日本は2015年から人口減少社会に入っていて、2030年には全ての都道府県で人口が減少する

土地の値段も建物(賃貸ビル)の値段も、下がることはあっても、上がることはないだろう。

不動産価格や電力消費がどうなっていくのか、不確実な(これまでの延長で考えられない)部分が多い。

それに対し、太陽光発電所の売買は、固定価格買取制度に支えられていて、

リスク担保(保険やセキュリティ)がしっかりしていれば、

日射量の変動は、20年間で平準化され、ソーラーパネルの劣化も僅か なので、

表面利回り10%もあれば、ランニングコストを引いた実質利回りは8%前後あり、

仮に稼動開始後3年であったとしても、FIT期間が17年残されていて、

発電量が年間通して最も少ない12月・1月の収入を毎月の返済額に設定して、

10年(120ケ月)で組むことができれば、

返済中にも夏季に収入が残り、完済後、FITの残り7年の売電収入が約束される。

銀行にとっても回収リスクが少なく、融資実行(=担保設定)可能なはずだ。

恐らく、今後2年余りの間は、稼働開始済太陽光発電所の売買が盛んに行われるだろう。

太陽光パネルは動産で、FIT契約がされた売電収入は売掛金だが、銀行はその両方を担保に取る。

不動産は、不動  不産なので、「リターン/リスク」で並べると、

賃貸不動産の家主業<賃貸不動産の地主業<太陽光発電事業 という図式になる。

 

¥40/kwh(税別)で始まった買取り価格上乗せ原資は、

電力消費者の負担する賦課金にあり、

賦課金の総額は、年間2.4兆円(2018年度)になっている。

これは、10kw超太陽光の全量買取り単価を20年間固定するという制度の問題だ

 

FIT(フィードインタリフ)は、

地球温暖化への対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処などの一環として、

主に再生可能エネルギーの普及拡大と価格低減の目的で用いられる。

設備導入時に一定期間の助成水準が法的に保証されるほか、

生産コストの変化や技術の発達段階に応じて助成水準を柔軟に調節できる制度である。

適切に運用した場合は費用当たりの普及促進効果が最も高くなるとされる。

世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策としては一般的な手法となっている

その一方、買い取り価格の設定次第で過大な設置や利用家庭の負担が増大する。

実際、電力利用家庭の賦課金は、¥2.9/kwh(2018年度)なので、

1ケ月300kwh使用すると、¥870/月=¥10,440/年となる。

これでも、ドイツの1/3程度だそうだ。

太陽光発電全量買取り価格の推移

 

国が、再生可能エネルギーの普及促進舵を切った以上

それは世界の流れでもあり、後戻りは出来ない

以前、初回当欄「太陽光発電の過積載について(2017.9.16)」において、指摘したとおり、

再生可能エネルギーを支える賦課金問題は、個人や法人としては、

再生可能エネルギーの事業者側になる事以外に解決法がない。

また、賦課金は、今後も20年間に亙って、一般消費者には負の遺産として引き継がれ、

再生可能エネルギー事業者や関連の銀行にとっては、安定収入となり続ける。

銀行にとって、太陽光発電所からの金利収入は、

住宅ローン金利のように安定した基本収入だと言える。※3

しかし、太陽光発電電力買取り価格が¥14/kwhで、しかも2Mega以上は入札制となっては、

新規取付では、利益が出ないこともあり、取付工事会社は別の事業を模索している。

ソーラーパネルメーカーも、パネルが国際商品であることから、日本以外の販路を求めている状態だ。

太陽光取付市場が縮小した結果、取付工事専門業者や、大手パネルメーカーでも部門を縮小していて、

既に倒産や撤退が相次いでいる。

現在 太陽光発電事業で収入のある会社は、太陽光で味をしめて、

賦課金を得る側に回るという太陽光以外再生可能エネルギー事業・・・

つまり、風力発電・バイオマス発電・地熱発電に新規参入しようとする会社が数多くある。

ところが、

風力発電の場合、その立地条件が、1年間の風力モニタリングデータを要し、年間通して5~9mの風が吹く場所で、且つ、送電線が近くにあること(送電線幹線迄の送電線設置費用は、事業者負担)が条件になり、落雷のリスクがつきまとい、風力は常に不安定だ。20kw未満の風力買取価格が¥55/kwh(2017年度)⇒¥20/kwh(2018年度)と、一気に下げたので、経産省は中小企業の風力発電への参入を拒否していると言われている。

バイオマス発電(間伐材・PKS黒液などを燃焼させてタービンを回す)の場合、バイオマス燃料の20年間に亙る安定供給が条件となり、既に入札制度が導入されていて、副産物の灰や煤の処分問題がある。

地熱発電(地下から、蒸気を取り出し、直接タービンを回す)の場合、地熱エネルギーのポテンシャル(蒸気圧と温度と量)が、最大の鍵になる筈だが、それ以外に、地元温泉組合が資源枯渇を理由に反対するというリスクがあり、アセスメント(環境影響評価)にも時間がかかる。

 

いずれも、太陽光発電と比較して、リードタイム(準備期間)が長く、難易度は格段に高いが、

アーサーバイオとして、できることなら、地熱発電開発に挑戦しようと考えている。

アーサーバイオ(EARTHOR-BIO)の中には、BIOもあるが、EARTHが基本だ。

そして、アーサーバイオのような中小企業は、変幻自在に形を変えるのが、強味でもあると思う。

 

再生可能エネルギー事業は、投資を促進し、アベノミクスを牽引してきたと言える。

巨大な投資資金は、まるで意思を持っているかのように、

リターンとローリスクを求めて勝手に世界を旅するもの

まして、日本の電力賦課金は、実体経済であり、CDSなんぞに投資するよりも遥かに安全だ。

賦課金問題というアゲインストをフォローに替える方法は、再エネ事業者になる事なので、

今後は 、稼働開始済太陽光発電所を買うか、風力発電・バイオマス発電・地熱発電に新規参入する事だ。

再エネ法で「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らねば

というのが、先日の銀行マンや再エネ事業者のホンネだ。

 

 

 

※1

その間で、浜岡原子力発電所は、稼動中の4号機(113.7万kwh)と5号機(138万kwh)が原子力安全委員会(後の原子力規制委員会)を通すことなく、

当時の菅直人首相の要請を受けて、稼動を停止(2011.5.14)し、中部電力は点検中だった3号機(110万kwh)の再稼動も見送った。

本日現在、浜岡原発は、停止したままになっている。

浜岡原発以外の原発の稼動停止は、全て原子力安全委員会(後の原子力規制委員会)を通して行われた。

によると、2019年1月現在 9基(出力合計823万kwh)が稼動している。

 

※2

経済産業省は調達価格等算定委員会という諮問機関を外部に設けて、買取り価格を引き下げて現在に至る。

 政府は当初、再エネ率目標を2030年に30%としていたが、最近では、2030年に24%下方修正したようだ。

 

※3

賦課金問題の次に考えられる「太陽光発電」の問題点は、晴れた日の昼のみという

パルスのような電力が、電力需要に対し、供給源として安定していないことだ。

その谷間を埋める為に、火力発電を稼動させる必要があるが、化石燃料を使うことになり、

日本の場合、石炭とLNGが主力だ。