将棋 竜王戦の最終局で羽生が敗れ 27年ぶりの無冠になった。

「羽生さんは、一言で言うと覇者ですね。」とは、

一昨年引退した「ひふみん」こと加藤一二三の 羽生評だ。

羽生善治は第31期竜王戦で、タイトル100期にあと1勝としてから、

広瀬章人八段に2連敗して防衛に失敗し、100冠がお預けとなった。

隣の囲碁界では、井山裕太(羽生と同時に国民栄誉賞受賞)が、先月43個めのタイトルを獲得して、

それまでの最多タイトル獲得記録(趙治勲の42期)を更新したが、

将棋界では、羽生善治が、その2倍以上の99期のタイトルを獲得している。

羽生の最初のタイトル奪取が平成元年で、無冠になったのが平成30年12月だから、

ほぼ、平成30年間の全ての時期に羽生はトップ棋士として君臨し、

平成年間の全タイトル217回の半数以上の136回に登場して、99回を制している

27年9ケ月ぶりの無冠というのも、今後 簡単に破られるとも思えない。

数ある国民栄誉賞の中でも、ダントツで、兎に角、空前絶後の実績だ。

99冠とて、あの神童:藤井聡太七段が破ることはかなり難しい筈だ。*1

名誉NHK杯選手権者(10回優勝) を含む棋戦優勝44回、

競馬で云う武豊の4000勝に勝るとも劣らない。

今回、竜王戦第7局の立ち会い人を努めた藤井猛九段が、

羽生さんは、平成元年に最初のタイトル:竜王を獲得し、

その後私は、18年前に20世紀最後の竜王戦を羽生さんと戦いましたが、

羽生さんは平成最後の竜王戦を戦っています。と感心していた。

19才の時、平成元年の第2回竜王戦で、初タイトルを獲得すると、

平成7年度には、七冠制覇を成し遂げ、

平成14年迄竜王位は6回、永世竜王資格取得にあと1回と迫ってから、翌 平成15年の防衛失敗

丁度10年前の第21回竜王戦挑戦で、緒戦から3連勝して再度永世竜王に王手をかけ(あと1勝とし)たあと、

渡辺竜王にまさかの4連敗を喫して挑戦敗退し、

リベンジのチャンスが回ってきたのが、第23回竜王戦で、再び渡辺竜王に2-4のスコアで防衛を許し

7年ぶりに永世竜王獲得のチャンスを得たのが、一昨年第30回の竜王戦で、

奇しくも、相手は、第21回・23回の時と同じ渡辺竜王。

3度めの正直で、劇的にタイトルを奪取して、ついに、永世竜王称号獲得、国民栄誉賞受賞。

同時に99冠を達成したその後、史上初、6人のプレーオフとなった名人挑戦(A級リーグ)を制し

名人戦挑戦失敗・棋聖戦防衛失敗・竜王戦防衛失敗とタイトル戦3回連続敗退(全てフルセット)

これも、羽生のキャリアの中では、初めての出来事だった。

(7大タイトルの4番目(折返し)の王座を19連覇し、

1期防衛失敗した次の年から5連覇した。:同一タイトルに26年連続登場して24回優勝)

将棋盤が9×9で81マスなので、将棋界では81才を盤寿と言うが、

大山康晴の80冠が途轍もない不滅の記録だったので、

羽生が81冠の新記録を樹立したのは、大きなエポックだった。

今般、タイトル100期の大記録は遠のいたが、永世竜王の称号獲得に15年を要した事に比べると、

どのタイトルでもいいので「あと1冠」いずれ達成するのではないかという期待は大きいが、

コンピューター将棋で研究を積んだ若手の急追急成長もあり、挑戦者になるのも大変な時代だ。

 

 

広瀬章人(あきひと)という、今上天皇と同じ名前のスターが、7年ぶり2回目のタイトルを獲得したのも、

羽生が、99冠で、100冠がお預けになったのも、

今年の将棋タイトル戦が、棋聖・王位・王座・竜王と

4棋戦連続で全て最終戦迄もつれ込んだ末に、奪取となったのも、

惜敗失冠の敗者が、羽生(前棋聖)・菅井竜也(前王位)・中村太地(前王座)・羽生(前竜王)となった 平成30年最後の厳しい現実も、

群雄割拠の平成30年の将棋界を象徴する出来事だと思う。

 

尚、本日(平成31年1月)現在のタイトル保有者は以下のとおり。

()内は(通算タイトル獲得数/タイトル戦登場回数)。叡王のタイトルは平成30年が初年度。

竜王:広瀬章人   (2/5)

名人:佐藤天彦   (3/5)

叡王:高見泰地   (1/1)

王位:豊島将之   (2/6)

王座:斉藤慎太郎  (1/2)

棋王:渡辺明    (20/30)

王将:久保俊明   (7/14)

棋聖:豊島将之   (2/6)

 

 

又、歴代タイトル獲得回数記録は以下のとおり。()内は(通算タイトル獲得数/タイトル戦登場回数)。永世称号資格。

1位:羽生善治   (99期/136回)    現役   第十九世名人・永世竜王・永世王位・名誉王座・永世棋王・永世王将・永世棋聖・名誉NHK杯選手権者

2位:大山康晴  (80期/112回)    物故   第十五世名人・永世王位・永世王将・永世棋聖・永世十段

3位:中原誠   (64期/91回)      引退   第十六世名人・永世王位・名誉王座・永世棋聖・永世十段

4位:谷川浩司  (27期/57回)      現役      第十七世名人

5位:渡辺明   (20期/30回)     現役            永世竜王・永世棋王

6位:米長邦雄  (19期/48回)     物故   永世棋聖

7位:佐藤康光  (13期/37回)      現役            永世棋聖

8位:森内俊之  (12期/25回)     現役   第十八世名人

9位:木村義雄   (8期/11回)       物故   第十四世名人

9位:加藤一二三  (8期/24回)     引退

 

 

 

 

*1

藤井聡太七段は子供のころCUBOROというおもちゃで遊んでいて、このおもちゃが「空間把握能力を伸ばすのに効果がある」と注文が殺到した。