アルミ押し出し成型(崇徳院②)・・・前回から続く

アルミ押し出し成形の話

丸パイプの断面は円になります。
ちくわを輪切りにするのに似ての形です。
また、角パイプの断面はになります。
ちくわや丸パイプや角パイプはホローです。

中味の詰まった角棒や丸棒の断面はになるのでホローではありません。

それに対して
雨樋(あまどい)の切断面は、円弧です。
円弧には弦が張っていないので、アルファベットの「C」を少し広げたような半丸です(角樋ならばコの字)
また、H型鋼というものがあり、鉄骨建築等によく使われますが、断面は「H」です。
雨樋やH型鋼はソリッドです。

それぞれを製作する際に、用意する型を考えます。
『型』がモンダイなんです。
ソリッドならば、文字で言えば白地部分ですから型は一体モノです
型を周囲から固定して、そのスキマに溶かした金属を流し込み、
一方通行で押し出すことができます。
トンネルの中を溶融アルミが、通り抜けますが、
トンネルは一車線で、(車線間に)分離帯が、有りません。

難題は、ホローの中空部の型材(心棒)です
外部側と一体で作ることが出来ません。
心棒が固定されていなかったら、どうなりますか?
心棒は外側の型と平行を保つことが出来ず、
シリンダから熔融アルミを型に押し出した時に、丸パイプなら中空の円(シマ)が片寄ってしまいます
また、心棒の型材は流れに逆らうことなく、流されてしまいます。

ホローの型材のシマ部分は固定しないと均一な製品ができませんが、
中空部の型(シマ)を固定すると、支持材(スポーク)がジャマになって 、
ホローがその部分で切れてしまいます。
例えば、丸パイプを押し出しする際に、心棒を2点対辺の輻(スポークのことで、「や」と読みます)で支持固定すると、
半丸の樋が2本出来てしまうという矛盾を抱えているのです。
トコロテンを押し出すときに出口の格子でバラバラの棒状になるのと同じです。
(トコロテンを押し出すのを見たことが、無い人の方が多いかもしれませんが、映画

「バイオハザード」に出て来る「グリッドカッター」(クリック:但し閲覧注意)

といえば分かるかもしれません、)

心棒を輻(スポーク)で固定して、
熔かした金属を流し込んだ後、固まるまで待つと、
輻と金属が一体化してしまい、心棒は抜けなくなります。
又、バウムクーヘンちくわは、心棒が固定されていますが、
入れた方向へ引き戻すので、押し出し成形ではないのです。

ビレット(半溶融アルミ)が

シリンダーで押し出されるが、ホローの場合、ダイスの中で複線になって、ボルスターで単線に戻って融合する。

解決方法は、
熔かしたアルミが固まる前に、芯材の型を抜いてしまうことです。
押し出し成形の射出も型抜きもほぼ直線的に成されます。
シリンダから押し出された熔融アルミが管状の型の内部の障害物
(ホローの心棒とそのスポーク・・薄い板状で流れに逆らわない形だと思います)  の所で
一旦(左右に)分かれて
進行方向に押し出されながら、
シマの板状芯材支持部を通過した後で、
トンネル出口手前で再度接合癒着してから、 押し出されるので、
中空状(ホロー)の製品になるのです。
シマ部分の型材は、ダイス(トンネル途中)迄は外側の型材と、細く繋がっていて、
ボルスター(トンネル出口)では、最早、繋がっていません。
そこで、一旦別れて押し出されていた溶融アルミが、
癒着して、ホローのパイプが出来ます。
つまり、途中では樋トユ状の形二つになるが、最後の出口で二つが合わさってパイプ状に癒着して出て来るのです。

 

 

以前、スナックOscarのカウンターで
偶々、隣りにに座ったM製作所の紳士(仮名M氏)と私(N)の会話 
N「僕は富山の産ですねん」
M「アラ、僕は明日富山に出張で、アルミの鋳物の打ち合わせなんです」 
N「ちょいとホローの型材についてギモンがあってお訊ねしたいのですが・・・
M「それは、こういうことです・・・」 

アルミニウム合金押し出し形材ができるまで byNIC (クリック)

>>ところてんと異なるのは、押出し形材には中空パイプ状のものがあります。

これはダイスの中で3次元的(立体的)に材料が流れて出口側でつながっていく事で成形されています。

 

 

N「『われてもすゑに逢はむとぞ思ふ』ですね」
M「『われてもすゑに逢はむとぞ思ふ・・・』それです!」

M氏は、水割り2杯を飲んでさっと引き揚げましたが
僕は目からウロコが落ちた興奮状態で、その後もグダグダ飲んでいたのです。