土壌汚染の掘削除去は がんの切除手術と同じ考え方

今回は、土壌汚染対策としての掘削除去の例を ご紹介します。

内容をシンプルにしたので、お付き合い下さい。

 

設例)調査ボーリングおよびサンプル分析の結果 

土壌汚染対策法上の特定有害物質のフッ素が、土壌から検出されたとして、

各深度の土壌溶出量は、以下のとおりとします。

深度(m) 土壌溶出量(mg/L)
-0.5 1.6
-1 1.3
-2 1.2
-3 0.9
-4 0.4
-5 ND
-6 ND
-7 ND
-8 ND
-9 ND
-10 ND
フッ素の土壌溶出量基準0.8mg/L以下
ND:No Detaとは「検出されず」のこと

仮に、溶出量が0.8mg/L 丁度ならセーフです。

土壌汚染物質がフッ素に関して 基準値以下となり、問題ありません。

土壌汚染対策法のガイドラインによると

汚染が確認された深度から連続する2以上の深度で汚染を認められなかった場合、

最初に汚染が認められなかった深度までを汚染の深さとするとあります。

-4mと-5mで連続して基準超過が確認されなかったので、

最初に超過が認められなかった深度-4mを汚染の深さとします

仮に、汚染面積が900㎡(30m×30m)だったとすると、

900㎡×4m=3,600㎥が要措置土壌となります。

がんの切除手術をした場合実際のがん細胞の大きさよりも大きな範囲(正常な細胞まで)を切り取ります

もし、切除した断面に、がん組織があった場合は、手術失敗です。

体の側に残された がん細胞が、再び大きく増殖するかもしれないからです。

切片側断面の病理検査をして、正常な細胞のみの場合が、手術成功です。

がんの切除では、全て正常細胞の中で切り分けと言いかえることができます。

 

土壌汚染の上ので言えば

-4mまで掘削除去をして、その底面土分析の結果、基準値オーバーの場合

さらに深く掘削除去しなければ汚染が残っている可能性があるということで、

この確認作業を底面管理といいます。

同様に、水平方向の断面も 基準値以下であることを確認する作業が、側面管理です。

底面管理・側面管理をして、汚染土が残っていないことを確認した後で、

正常土を埋戻し 締固めて措置が完了です。

 

以下、がんの切除手術と異なるところです。

土壌汚染対策法のガイドラインによると 汚染の深さを設定した後、

汚染が認められた深度と最初に汚染が認められなかった深度との間において

汚染の深さを絞り込むことは可能とするとあります。

上の例で、-3.5m深度の調査をして、その地点の土壌溶出量が0.8mg/L以下なら、

-3.5mが汚染の深度となるので、汚染面積が900㎡(30m×30m)とすると、

900㎡×3.5m=3,150㎥が要措置土壌となり、

3,600㎥-3,150㎥=450㎥が絞込み調査によって削減できます。

土の密度を1.8ton/㎥として、450㎥×1.8ton/㎥=810 ton

つまり10トンダンプで、81台分の搬出削減になり、

掘削搬出と正常土搬入埋戻しでは、往復につき162台分の抑制となります。

 

 

 

※土壌溶出量オーバーだった場合は、掘削除去・正常土埋戻し措置完了後、観測井を設けて、

2年間8回の地下水モニタリングで、基準値以下であることの報告義務が課せられます。

 

土木業界では、土量を積算する際に 容積㎥ではなく質量tonを使います。

同じ土でも、容積が変化し、容積は 締め固め土<ほぐし土 となるからです。

近畿財務局では、森友学園予定地の土壌汚染処理費用単価を、22,500円/tonで試算していて、

仮に面積8,000㎡で深度3mなら、処理費用は、9億7,200万円という積算になります。

この22,500円/ton≒¥40,000/㎥という単価は、一般ごみの為 高い方ではありません。

汚染物質がPCB・水銀など高温焼成処分が必要な汚染物質の場合、さらに高くなります。