太陽光発電の過積載とは
パネル出力/パワコン定格出力=100%超のことをいいます。
2012年7月より再生可能エネルギー特別措置法・・・通称再エネ特措法が発効し、
再生可能エネルギーの固定価格買取制度:FITが始まりました。
その中に、太陽光発電所の定格出力は
パネル出力またはパワコン出力のいずれか小さい方とするという規定があります。
一方 パワコン(太陽光パネルで発生した直流電流を、交流電流50Hz/60Hzに変換する装置)
の能力は 定格出力に余力があります
(150~179%まではカットされずに変換能力があるというデータ有り)
当社所有発電所の例では、パネル出力2,755kw/パワコン定格出力1,995kw≒139.5%です。(全国平均では、106%)
2012年度に40円/kwh(税抜)で始まった太陽光のFIT(固定価格買取契約)価格ですが、
2017年度では21円/kwh(税抜)にまで下がりました。
↑弊社施工太陽光発電所 兵庫県三木市 645Kw(積載率131.6%=パネル出力645kw/PCW出力490kw)
↑弊社施工・所有太陽光発電所 三重県四日市市 フェンス際まで、ヘルメット1ケ分も無い程、防草シートを貼って、パネルを増設↓
(積載率139.5%=パネル出力2775kw/PCW出力1995kw・・・↓パネルの色が青い部分が増設箇所)
経済産業省が買取価格を毎年4円/kwhづつ下げてきた根拠には、
太陽光発電所建設に原価率40%近くを占めていた太陽光パネルの調達単価が、
その5年間で、約150円/wから30円強/wにまで下がってきたことが大きな要因です。
その間で架台価格は若干下がりましたが、その他原価の工事代など価格が上昇したものもあります。
買取価格を下げた背景には太陽光発電所が一定程度普及して、
昼夜天候季節の影響を受ける太陽光発電については、普及促進の必要がなくなってきたという状況もあります。
FIT契約がパワコンの定格出力を基に締結されていることを奇貨として、少しでも余地のある太陽光発電所では、
パネル増設工事で、最大150%までの過積載を目指すことになりました。
太陽光パネル増設工事は、土地の造成やパワコンの購入設置費用が不要で、投資効率が良い事業です。
ところが、ここで再エネ特措法最大の問題が浮上します。
すなわち、我々が家庭などで使っている電力料金の賦課金(上乗せ)問題※です。
2017年現在、一般家庭で792円/月(300kw/月として)を負担している賦課金の根拠は再エネ特措法で、
FITを維持する原資を電力消費者に転嫁するというものです。
政府が2030年に目標としている【再エネ電力/全電力=30%】が実現すれば、
一般家庭の賦課金は1400円/月程度になると試算されていて、
その賦課金の再分配は再エネ事業主のみを優遇する不公平な結果を産むということです。
そこで経済産業省は 本年8月31日に過積載対策のルール変更をしました。
経済産業省ホームページによると「太陽電池の合計出力」の変更手続きが「変更届出」から「変更認定申請」に変わります。
その上で、「太陽電池の合計出力」を3%以上又は3kW以上増加させる場合、
もしくは20%以上減少させる場合は、調達価格が変更認定時の価格に変更されます。(施行規則第9条第11項、告示第2条第7項関係)とあります。
つまり、今後 既存の太陽光発電所が太陽光パネルで3Kw以上の増設申請をした場合、
FITの原契約に関係なく全体が最新(最安)の買取価格となるということで、実質の増設禁止措置です。
あれ?FITのFはFIX(固定)のFではなかったの?
※この問題の解決法は、みんなが知っているとおり「再エネ事業主になること」以外にありません。
構造的要因としては、賦課金が 受益者負担になっていないことです。